近年、自社商品の販売において自社ECサイトを作りたいと考える方が増えています。
特に設定やカスタマイズがしやすいことから、Shopifyを導入してECサイトを構築する会社が急増しています。
Shopifyは、簡単にECサイトを構築できるプラットフォームである反面、独自性のあるECサイトを構築する場合には、およそ100〜300万円くらいの費用がかかります。
こうした背景の中で、コスト面でためらってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで、国からの補助金であるIT導入補助金を活用し、コスト面を抑えてShopifyを導入する方法は有効な手段の一つです。
ここでは、Shopifyで申請できるIT導入補助金について解説していきます。
Shopifyの導入を検討している方は、是非参考にしてみてください。
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者等が仕事の質を向上させるためにITツールを導入した際、経費の一部が補助される制度です。
ITツールは会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフト、ECサイトなどが挙げられます。
ECサイトのひとつであるShopifyを導入した場合も、補助金の対象となります。
IT導入補助金はどんな人が申請できる?
IT導入補助金をもらうには、いくつかの条件があります。
ここでは補助金をもらえる対象者と応募枠について、まとめていきます。
対象者
IT導入補助金を申請する場合、下記の2点を満たす必要があります。
- 申請時に日本で法人登記をしていること、また日本国内で事業をしている法人・個人であること。
- 中小企業・小規模事業者等であること(大企業は不可)。
- 資本金・従業員規模の一方が、下記の表以下の場合は対象となります。ただし医療法人や財団法人などは定義が異なるので、申請前に確認しておきましょう。
中小企業
業種・組織形態 | 資本金 | 従業員数(常勤) |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
小規模事業者
業種分類 | 従業員数(常勤) |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
応募枠
IT導入補助金の応募枠は、大きく3つに分けられます。
応募枠によって金額や内容が変わります。
申請書も異なるため、書類をダウンロードする際は注意しましょう。
通常枠
労働力・生産力を向上させるITツールの導入に対して、補助金がもらえる枠です。
在庫管理ツールや財政管理ツールなどが該当します。
通常枠には「A類型」「B類型」の2種類があり、補助金の金額が異なります。
「A類型」の上限は150万円、「B類型」の上限が450万円です。
B類型は補助額が高いですが、事業計画に具体的な給与の増額といった内容を盛り込まなければならず、審査が厳しくなっています。
セキュリティ対策推進枠
独立行政法人情報処理推進機構が公表している「サイバーセキュリティお助け隊 サービス」を導入すると、最大2年間の利用料を補助してくれる枠です。
従業員の端末やネットワークを監視するツールなどが該当します。
サイバー攻撃などが増えていることから、2022年に新設された制度です。
デジタル化基盤導入型
会計・受発注・決済・ECのソフトウェア導入に対して、補助金がもらえる枠です。
PCやタブレット、券売機といったハードウェア導入に対しても補助してもらえます。
ただしハードウェアは「会計・受発注・決済・EC」に関するものでなければなりません。
通常枠のように、給与アップといった目標を示す必要がありません。
またインボイス制度が始まることから、採択率がアップしています。
Shopifyの導入も、デジタル化基盤導入型に該当します。
ShopifyでIT導入補助金はいくらもらえる?
Shopifyの導入が、デジタル化基盤導入型に該当するのは上記の通りです。
デジタル化基盤導入型は、最大350万円まで補助してもらえます。
ただし導入するソフトウェアの機能数によって、上限金額と補助率が変わります。
ここでは、具体的な算出方法について解説します。
1機能のみを導入する場合
機能 | 機能数 | 補助金 | 補助率 |
---|---|---|---|
会計 受発注 決済 EC | 1機能のみ | 50万円まで | 4分の3以内 |
1機能のみを導入する場合、補助率は3/4以内、上限50万円まで支給されます。
(例)shopifyのみを1,000,000円で導入した場合
1,000,000円(経費)×3/4(補助率)=750,000円→500,000円(補助金)
上限が500,000円のため、補助金は500,000円支給
2機能以上を導入する場合
機能 | 機能数 | 補助金 | 補助率 |
---|---|---|---|
会計 受発注 決済 EC | 2機能以上 | ~50万円部分 | 4分の3以内 |
会計 受発注 決済 EC | 2機能以上 | 50万円~350万円部分 | 3分の2以内 |
2機能以上を導入する場合は、上限350万円まで支給されます。
また補助金が「1円〜50万円部分」と「50万円〜350万円部分」では、補助率が変わってきます。
(例)shopifyと別の会計ソフトを100万円で導入した場合
666,667円(経費)×3/4(補助率)=500,000円(補助金)
333,333円(経費)×2/3(補助率)=222,222円(補助金)
500,000円+222,222円=722,222円
補助金は、722,222円支給
2機能以上のソフトを導入する場合、補助金の計算が難しいと感じるでしょう。
金額が分からない方は、公式サイトの補助金シミュレーターで計算してみましょう。
【参考】IT導入補助金2023/デジタル化基盤導入枠(補助金シミュレーター)
ShopifyでIT導入補助金を申請する手順
IT導入補助金の申請は、必要書類や事前準備が必要です。
専門の事業者と一緒に相談しながら、申請を進めていきましょう。
ここでは、IT導入補助金を申請する手順をまとめています。
1.事業内容を理解する
公募要領をよく読み、補助金事業の内容をきちんと確認しましょう。
目的を理解することで、この後の事前準備や書類作成が進めやすくなります。
2.IT導入支援事業者・ITツールの選定
補助金といえば、行政書士に相談したいと考える方が多いでしょう。
しかしIT導入補助金は「IT導入支援事業者」に相談するのが一般的です。
「IT導入支援事業者」とは、補助金の各種申請をサポートしてくれる事業者です。
「IT導入支援事業者」は、公式サイトの「IT導入支援事業者・ITツール検索」で検索できます。
自社のエリアや業種などを選んで検索し、事業者を選びましょう。
事業者が決定した後は、相談しながら導入するITツールを決めていきましょう。
3.事前準備をする
IT導入補助金を申請する場合、システムのアカウントや書類が必要となります。
いずれも取得まで時間がかかるので、まとめて準備しておきましょう。
「gBizIDプライム」アカウントを取得する
交付申請には「gBizIDプライム」のアカウント(ID・パスワード)が必要となります。
ID発行までに、およそ2週間かかるので早めに申請しておきましょう。
「みらデジ」で経営チェックを行う
gBizIDプライムのIDが発行されたら、「みらデジ」で経営チェックを行いましょう。
「みらデジ」は中小企業・小規模事業者の経営課題をデジタル化で解決してサポートする制度です。
交付申請には、経営チェックの実施が必須となります。
「SECURITY ACTION」の宣言済アカウントIDを取得する
交付申請には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必要になります。
「SECURITY ACTION」とは、中小企業・小規模事業者が情報セキュリティ対策に取り込むことを自己宣言する制度です。
「★一つ星」と「★★二つ星」の2段階の目標を設定しています。
どちらかの宣言を済ませると、アカウントIDが発行されます。
交付申請にはアカウントIDが必要となるので、必ず控えておきましょう。
必要書類を揃える
必要書類は、法人と個人事業主で異なります。
税務署で発行してもらわなければならない書類もあるので、早めに揃えておきましょう。
法人 | ①履歴事項全部証明書 (交付申請日から遡って、3ヶ月以内に発行されたもの) ②法人税の納税証明証 (税務署で発行された直近分のもの) |
---|---|
個人事業主 | ①運転免許証または運転経歴証明書または住民票 (住民票は交付申請日から遡って、3か月以内に発行されているもの ) ②所得税の納税証明書 (税務署で発行された直近分のもの) ③所得税確定申告書B ( 税務署にて受領されたことが確認できる前年分のもの |
4.交付申請
IT導入支援事業者と相談して、事業計画を作成します。
その後の交付申請は、以下の流れで進めていきます。
- IT導入支援事業者:申請者へ「申請マイページ」の招待を行います
- 申請者:申請マイページで必要な情報を入力・書類添付を行います
- IT導入支援事業者:事業計画値と導入するITツールの情報を入力します
- また申請者の入力内容を確認し、必要であれば訂正作業を行います
- 申請者:入力内容の最終確認をした後、申請します
交付申請の締め切り時間は、締め切り日の17:00です。
締め切りまでに余裕をもって、申請しましょう。
交付決定までには、1か月程かかります。
5.交付決定・ITツールの導入
事務局から交付決定の通知がきた後、ITツールの発注・契約・支払いが行えます。
Shopifyの導入も、この時点で行えます。
交付決定前に発注や契約を行ってはいけません。
6.事業実績報告を行う
ITツールの導入が完了したら、実際に発注・契約・支払いを行ったことが分かる証憑を添付して、事業実績報告を行います。
事業実績報告は、以下の流れで進めます。
- 申請者:申請マイページから証憑を添付して、事業実績報告を作成する
- IT導入支援事業者:内容の確認、必要情報を入力する
- 申請者:入力内容を最終確認した後、事務局に報告する
7.補助金の交付手続き
事業実績報告を行うと、補助金額が確定します。
申請マイページで補助金額を確認して交付手続きを行うと、補助金が支給されます。
8.事業実施効果報告を行う
ITツールを導入したことで、どのような効果があったかを報告しなければいけません。
事務局へ事業実施効果報告を行いましょう。
ただし事業実施効果報告には、締め切りがあります。
申請日によって締め切りが異なりますが、交付決定からおよそ4〜6か月となっています。
締め切りまでに報告されない場合、補助金を返還しなければいけません。
締め切りを確認して、きちんと報告するようにしましょう。
ShopifyでIT導入補助金の申請を採択されるには?
2022年度のIT導入補助金の平均採択率は66.4%でした。
デジタル化基盤導入枠は85.5%なので、約15%の申請は不採択になってしまいます。
補助金の申請が採択されるには、事業計画やITツールを導入する理由をきちんと記載しておくことが重要です。
特に審査では、事業面の具体的な計画が注目されます。
申請の際は、フリー欄をうまく活用しましょう。
ITツールを導入することで、どういった内容を実現できるのかを明確に記載しておくとよいでしょう。
また導入したいツールが複数ある場合は、同時に申請することも重要です。
なぜなら1度補助金を受け取ると、3年以内に再申請した場合は減点対象となってしまうためです。
どのようなツールを導入するかについて、IT導入支援事業者とよく相談してから決めましょう。
ShopifyでIT導入補助金を申請する際の注意点
Shopifyを導入したいと考える方にとって、心強いIT導入補助金ですが、申請する際に、注意しておくべき点がいくつかあります。
注意点を確認して、きちんと補助金を受け取れるようにしましょう。
準備や手続きは早めに済ませる
補助金の申請には、IDアカウントの発行や複数の書類が必要です。
申請の締め切りが決まっているため、1つでも揃わないと期日までに申請ができなくなってしまいます。
なるべく早く準備に取りかかり、出来る手続きは早めに済ませておくようにしましょう。
また補助金を受け取れたからといって、安心してはいけません。
期限内に事業実施効果報告を済ませないと、補助金を返金することになってしまいます。
Shopifyを導入した後は、なるべく早く事務局へ報告しましょう。
交付決定前の作業費は対象外になる
交付決定から事業実施効果報告までの期限は、およそ4か月〜6か月です。
「早く取り掛からなければ」と焦ってしまい、Shopifyを導入してしようと考える方もいるかもしれません。
しかし交付決定前に発注してしまうと、補助金の対象外となってしまいます。
「早くしなければいけない」という気持ちはわかりますが、交付決定前に作業をしてはいけません。
交付後にすぐに発注や支払いをできるように、準備をしておきましょう。
リニューアルは対象ではない
すでにECサイトを導入しており、リニューアルのために補助金を申請したい方がいるかもしれません。
しかしIT導入補助金は、新規で制作したECサイトのみが対象となります。
Shopifyを新規で導入する際しか対象とならないため、注意が必要です。
年度内に1度しか交付されない
2つのITツールを導入したいけれど、早めにShopifyを導入したいからといって、1つだけ申請しようとしていませんか。
IT導入補助金は、同一年度内に1度しか交付されません。
もし複数のITツールの導入を考えている場合は、まとめて申請しましょう。
複数のITツールを申請したほうが、補助金の上限も上がるためお得になります。
必ず審査に通るわけではない
IT導入補助金は、審査が通らないことがあります。
また締め切り間際に提出してしまい、書類不備や要件を満たしていなくて落とされてしまうケースもあります。
補助金ありきで予算を組んでしまうと、申請が通らなかったため導入できなかったということにもなりかねません。
shopifyの導入を考える際は、余裕をもった予算を組んでおきましょう。
イーモジャパンでのIT導入補助金支援サービスによるshopify事例
化粧品メーカー
開発内容 | 自社ネットショップの構築 |
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申請の背景 | 実店舗での販売と卸販売がメインだったが、コロナ禍で売上が減少した為、自社ネットショップを構築して売上の軸を増やす。 |
課題 | ネットショップを開設しようにもコストがかかることで二の足を踏んでいました。 また開設した後にちゃんと売れるのか、どのようにすれば良いのか不安がありました。 |
費用/補助額 | 制作費用:200万 補助額:140万 実質負担:60万 |
お客様の声 | 当社は化粧品メーカーとして10年以上の実績がございますが、実店舗での販売と卸販売がメインでしたので コロナ禍で売上が減少した為、自社ネットショップの開始を考えました。 なるべくコストを掛けずに依頼先を探していたところ、イーモさんへ補助金のお問い合わせをしました。 費用を抑えたかったので、約70%補助されたのはとても助かりました。 次はインフルエンサーを使用したブランディングも考えているので、イーモさんに相談しようと考えてます。 |
食品メーカー
開発内容 | 楽天市場の新規構築 |
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申請の背景 | 楽天市場に出店を考えていたのですが、初期で費用が思っていた以上にかかるため、補助金等を探していたところECでつかえるIT補助金に行き着きました。 |
課題 | 楽天市場で販売したかったが、構築の仕方や販売方法などの知見がありませんでした。 |
費用/補助額 | 制作費用:100万 補助額:70万 実質負担:30万 |
お客様の声 | 楽天市場を始める前は、自社サイトのみで販売をしてました。なかなかアクセスが伸びず悩んでいたところ、イーモさんへ連絡をしました。それから補助金も無事採択され構築をして頂き、楽天市場で販売を開始し月商も70万円を超えたので驚いてます。 補助金後も楽天市場のコンサルティングもして頂いているので、この調子で売上拡大していきたいです。引き続き宜しくお願いします。 |
まとめ
この記事ではShopifyを導入する際の、IT導入補助金の申請方法について解説しました。
Shopifyの導入を検討している会社にとって、IT導入補助金は大きなメリットです。
IT導入補助事業者と相談しながら、事業計画をしっかりと練って申請を進めましょう。
申請は締め切りがしっかりと決められているため、準備をなるべく早く始めることが大切です。
IT導入補助金をうまく活用して、Shopifyでのビジネスの成長を目指しましょう。
イーモジャパンでは、IT導入補助金を活用したShopifyの導入支援など行っております。
もちろん導入だけではなく、制作後のShopify運用支援まで幅広く対応しております。
イーモジャパンの経験豊富なスタッフがあなたのEC事業をバックアップいたします。