インターネットが普及していない以前は、現物を見ないで商品を購入することに抵抗があった方が多くいましたが、現在ではネットショッピングや通販が当たり前となり、多くの方が利用しています。
利用者が多いこともあり、新たな物販事業を始める方が実店舗での運営ではなくECショップでオーナーになるケースが増えています。
ここでは、新たに楽天市場に出店する方がまず悩まれる楽天市場への出店方法や、出店に関わる諸費用などについて解説します。
楽天市場とはどのようなECサイト?
楽天市場とは、日本の企業である楽天が運営する純日本の出店型ECショッピングモールのことです。
楽天イーグルスという野球球団を保有していることから、国内での知名度は非常に高いです。
楽天市場とAmazonの違い
世界最大級のネットショップであるAmazonは、出品者が売りたい商品を登録する“出品”形式であることに対して、楽天市場は各ショップが出店してお店を楽天市場内に出す“出店”形式となります。
出品形式の場合、商品のフォーマットが決まっているので販売者の個性を商品ページで打ち出すことは困難で、出品者から購入したというイメージよりもAmazonで購入したという感覚が強くなります。
その為、再度商品を購入する際には同じ販売者から購入するというよりも、その時に1番安いところから購入するということになりがちです。
一方、楽天市場の出店方式では、楽天市場内にテナント出店料を支払い自分のショップを出店するのでお店としての独自性を打ち出しやすくなります。
出店料や手数料を楽天から徴収されますが、お店にリピーターが付きやすくなるので安定した収益を見込みやすくなるのが特徴です。
楽天市場は法人しか出店できないのか?
先に結論を申し上げると、楽天市場に出店するのは個人事業主か法人でないと出店ができません。
個人名義では出店できない規則になっているので会社員をしながらの副業を考えている方は出店できないシステムになっています。
個人で出店を考えている方は、まず事前に税務署に訪問して開業手続きを行いましょう。
開業手続きが終わり個人事業主となった後に楽天市場に申し込みを行い、審査の結果晴れて出店できるようになります。
楽天市場に出店する流れと手順
楽天市場に出店するには大きく4つのステップを踏む必要があります。
そして出店する際に、申し込み時の『出店審査』とアカウント開設後の『開業前審査』の2回の審査があります。
実際に営業を開始するまでには概算2ヶ月程度掛かるので、事前に様々な準備をしておきましょう。
①出店の申し込みと書類審査
楽天市場に出店するには、まず公式ホームページから出店申し込みをして手続きを始めます。
出店の申し込みでは、店舗運営責任者の情報や連絡先、会社名など細かな記載事項があるので記入漏れがないように入力します。
記載事項は次のようなものがあります。
- 会社名(個人事業主名)
- 本社所在地
- 代表電話番号
- 代表FAX番号
- 店舗運営責任者
- 郵便物の配送先
- 連絡先メールアドレス
- 事業形態
- 取扱商材ジャンル等
各種情報を入力して申し込みすると、楽天市場から出店申し込みフォームの案内がメールできます。
そのメールでの指示に従い必要事項を記載します。
記載時の注意点として、法人の方は「登記簿謄本」、個人事業主の方は「住民票」と同様の内容を記載しないと書類審査で落ちてしまいます。
書類審査を申し込んだ後は結果を待ちます。
早い方では1週間程度、中には1ヶ月程度掛かることもありますので気長に待ちましょう。
結果はメールで報告があります。
無事審査に通過すると「楽天市場出店申し込みログイン」にアクセスできるようになるので、ログインを行い各種重要事項の確認をします。
必要書類に捺印(法人は登記印、個人事業主は印鑑登録印での捺印)して書類のアップロードをすると申し込みが終了です。
利用できるようになったらRMSのログインIDとパスワードが送られてくるので、それまではショップのイメージを膨らませて待ちましょう。
②RMSアカウントを開設する
RMSとはRakuten Merchant Serverの略で、楽天市場を運営するための管理システムのことです。
運営サポートからアクセス分析、集客販促ツールの設定など様々な機能を利用する際にログインします。
送られてきたログインIDとパスワードでRMSの利用を開始することができます。
RMSの利用開始日が課金開始日となりますので注意してください。
まだ楽天市場に出店していませんが、サービス利用のために費用が発生するので認識しておきましょう。
具体的に課金とは出店料のことを言い、楽天市場から出店料の支払いを行う「Bill Pay」のログインIDとパスワードの案内メールがきます。
内容を確認後に問題ないようであれば指定口座に20日以内に出店料を入金します。
期日までに入金しないとRMSのサービスが停止されるので十分に気をつけましょう。
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③店舗開店準備と開店前審査
出店料の入金が終わったら念願の出店準備に取り掛かります。
ここまでに1ヶ月程度掛かるので、店舗の構想やできる箇所の作成などしておくと良いでしょう。
もしも店舗作成などで分からないことや相談事項などある場合は、楽天市場の無料コンサルタントに相談するようにしましょう。
前述にもありますが、2回目の審査がここで発生します。
開店前審査はRMSで楽天に依頼します。
審査を受けるには次のような条件をクリアする必要があります。
- 楽天市場の店舗ルール検定試験の受講と試験に合格
- 楽天からの振込口座登録
- 楽天への自動振替口座登録
- 商品登録
- カテゴリーページ作成
- 配送に掛かる条件設定
- メイン看板画像の作成
上記の条件が整うと審査が受けられるようになります。
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④審査の完了とECショップ運営スタート
審査に通過するとECショップのオーナーとしてオープンです。
初めてECショップを運営する場合は、全てがイメージ通りうまくいくとは限りません。
トライ&エラーを繰り返して理想のショップを作り上げましょう。
楽天市場の審査に落ちてしまう原因
楽天市場では2度の審査があると解説しました。
出店審査の基準が明確に開示されているわけではありませんので、審査に落ちる要因は人それぞれ様々な要因があります。
しかし以下のような条件の場合は、出店審査に落ちてしまう事が多いので注意しましょう。
個人出店や副業による出店
前述しましたが個人での出店や副業での出店はできません。
個人事業主として開業申請をしていないと審査には間違いなく通りません。
販売項目に取扱禁止商品が含まれる
楽天市場をはじめ、ECショップやモールでは取り扱いを禁止している商材があります。
法律で販売や取り扱いが禁止されているものや、公序良俗、モラルに反するもの、悪用される危険性があると見なされるものなどは販売を禁止されています。
具体的には次のようなものがあります。
法令で販売・所持禁止とされているもの | 〈例〉 ・銃砲類、覚醒剤、向精神薬等薬物、盗品 ・医療成分を含む健康食品、高度管理医療機器の承認を得ていないコンタクトレンズ ・ワシントン条約、種の保存方法の条約・法令により取引が規制されている動植物 ・不正改造自動車及びバイク |
---|---|
公序良俗・モラルに反するもの | 〈例〉 ・使用済みの下着、制服、水着、体操服等及び同等とみなすもの ・盗撮写真、盗撮ビデオ、盗撮機器 ・犯罪方法やテロ行為の手引きを助長する商品、その他犯罪性の高い商品や犯罪を誘発する恐れのある商品 ・モザイク除去機器 ・暴力団、不良、半グレ集団、テロ組織、暴走族等に関係する商品 ・グロテスクな商品、その他嫌悪感や不快感を与える商品 |
商品の規約で譲渡転売が禁止されているもの | 〈例〉 ・預貯金や証券の口座、預貯金通帳、クレジットカード、キャッシュカード、ローンカード等 ・番号が開通済みの携帯電話、PHS、ボケットベル |
悪用される危険があるもの | 〈例〉 ・印影から印章を作成するサービス ・免許証、パスポート、健康保険証等の身分証明書 ・個人情報や、それらの情報が含まれた媒体、マイナンバーIDやパスワード ・官公庁・企業の入館証、社員証、役職や身分を示すバッジ、その他公的期間の制服等 |
青少年の保護育成上相応しくないもの | 〈例〉 ・アダルトグッズ ・性風俗店の宣伝広告、性風俗に関わるチケット等 ・青少年の保護育成上好ましくないビデオ、DVD、写真集、ゲームソフト、書籍、雑誌 ・児童ポルノ |
危険物 | 〈例〉 ・爆発物、高圧ガス等の危険物 ・毒物、劇物、及び同等の薬物を製造可能とみなされるもの ・スタンガン、催涙スプレー、警棒等、武器として使用される恐れのそれのあるもの(護身目的の商品も販売が相応しくないないとみなされる) |
他人の利益・権利を侵害するもの | 〈例〉 ・偽ブランド品、非公式レプリカ、ブランド品の独自リメイク品や類似品、真正品であると証明できない商品 ・CD・DVD・ビデオ・ソフトウェアの違法コピー商品 ・無断で撮影した著名人のブロマイド、無許可でタレント画像等を使用した商品等、肖像権、パブリシティ権を侵害する商品 ・他人の名誉及び信用を毀損する商品 ・スクランブルキャンセラー、コピーガードキャンセラー |
楽天市場が不適切と認めるもの | 〈例〉 ・根拠のない「金運上昇」や「波動」等、非科学的な表現を用いた商品 ・宗教色の強い商品(墓石、仏壇等を除く) ・性的機能の強化・改善を目的とする精力剤 ・使用期限の切れた医薬品、医薬部外品、化粧品、動物用医薬品、動物用医薬部外品 ・「消費期限」の切れた食品 ・鯨、イルカの部位を用いた製品 |
店舗の規模、運営実績不足
店舗の知名度不足や規模が小さいショップなどは審査に落ちる可能性が高くなります。
これは楽天市場のポリシーとして、出店企業の信頼性を重視しているので品質を損なう可能性がある規模の事業者は審査に落とされることもあります。
レンタルオフィスやバーチャルオフィスで運営している
本社の所在地は、法人ならば登記簿謄本の住所で、個人事業主ならば代表者の住民票の住所で登録し運営する必要があります。
レンタルオフィスやバーチャルオフィスなどを使用して運営している場合には、個人情報の安全性の確保や楽天からの郵便物等が受け取れなくなる可能性があるので審査に落とされる可能性があります。
安全性が担保できる場合は問題ありませんが印象があまり良くありませんので、できれば避けることが望まれます。
開店前審査の項目に漏れがある
開店前審査の項目を解説しましたが、その内容に抜けや漏れがあると審査には通りません。
慌てて審査を申し込んだり、確認不足で重要な項目を見逃したりして申請すると審査に落ちます。
二度手間になり結果的に開店に必要以上の時間が掛かったりしますので、十分に気をつけて申請しましょう。
楽天市場に出店するプランとその費用
楽天市場に出店すると、出店する際に発生する初期登録費用や月額登録費用など様々な費用がかかります。
それぞれどのような費用が発生するのか詳しく見てみましょう。
楽天市場の出店費用は3タイプから選択する
楽天市場の出店料金プランは、目標とする店舗に合わせて3つの選択肢があります。
プラン名 | がんばれ!プラン | スタンダードプラン | メガショッププラン |
---|---|---|---|
月額出店料(税別) | 19,500円/月 支払い方法は年間一括 | 50,000円/月 支払い方法は半年毎の2回分割 | 100,000円/月 支払い方法は半年毎の2回分割 |
システム利用料(税別) | パソコン経由の場合 月間売上高の3.5〜6.5% モバイル経由の場合 月間売上高の4.0〜7.0% | パソコン経由の場合 月間売上高の2.0〜4.0% モバイル経由の場合 月間売上高の2.5〜4.5% | パソコン経由の場合 月間売上高の2.0〜4.0% モバイル経由の場合 月間売上高の2.5〜4.5% |
登録可能商品数 | 5,000商品まで | 20,000商品まで | 無制限 |
画像容量 | 500Mまで | 5Gまで | 無制限 |
おすすめな人 | ネットショップ運営初心者におすすめなプラン。 月額出店料が安い代わりに、システム利用費用は割高になります。 | 目標月商が140万以上の事業者におすすめ。 ランニングコストが割安なので低コスト運営ができます。 | 使用画像や容量に制限を設けたくない事業者におすすめ。 |
上記のどのプランを選択しても初期契約時には、初期登録費用として60,000円が発生します。
その他の発生する費用
楽天市場に出店する際には、上記の基本プランの他にも運用しながら次のような費用が発生します。
- 楽天ポイント
- 楽天モールでの取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料
- 楽天スーパーアフィリエイト利用料
- R-Messe利用料金
- 楽天ペイ利用料
基本的な運用費用は前途の5項目になりますので、詳細は順を追って解説していきます。
楽天ポイント
楽天ポイントは、楽天市場で商品を購入した際に会員に提供されるポイントプログラムです。
楽天会員が商品を購入すると、店舗はその商品の購入額1%分(通常1.0%)を負担する必要があります。
楽天会員のポイント倍率が5、10倍であっても、負担するポイントは1.0%なので多くのポイントを楽天が負担してくれ、そのポイントでお客様に満足感を提供できるのが利点です。
楽天モールでの取引安全性・利便性向上のためのシステム利用料
ユーザーが使用しやすいシステム開発や、安心安全に楽天市場が使用できるような環境を整える為の維持管理費として、月間売上高の0.1%の費用を支払うことになります。
楽天スーパーアフィリエイト利用料
アフィリエイトパートナーのサイト経由で商品が販売されて売上が計上されると、購入商品ごとに事前に決めた成果報酬を利用者に支払います。
パートナーの報酬は一般的に2.0%〜5.0%程度に設定されています。
楽天アフィリエイトシステムの利用料は以下の通りです。
パートナーへの成果報酬合計×適用料率(規成果報酬により15%〜30%にて利率変動あり)
R-Messe利用料金
R-Messeとは、ユーザーが「ショップへの問い合わせ」を利用して店舗へ直接問い合わせができるサービスです。
この利用料金は「がんばれ!プラン」では3,000円、「スタンダードプラン」「メガショッププラン」では5,000円と固定金額になっていますが、2023年の現在に至るまで無料期間が続いています。
無料サービスの終了期間は未定なので定期的に確認するようにしましょう。
楽天ペイ利用料
楽天市場ではユーザーが決済をする際に、クレジットやコンビニ決済、楽天ポイント、代金引換など様々な決済サービスで購入をします。
全てに各店舗が対応するのは非常に困難なので、楽天が業務負担軽減のため決済業務を代行してくれます。
代行してもらった決済をショップ側は楽天ペイで一元決済します。
その際に楽天ペイ利用料として月間決済金額に応じて2.5%〜3.5%の利用料金を支払います。
楽天でECショップを出店する際に気をつけること
楽天市場ではその知名度を利用した優れた点がたくさんありますが、出店する際には気をつけなければいけないこともあります。
他のECモールよりも利用料が高め
楽天市場でショップオーナーになろうと検討している方は、他のECモールの利用料などとも比較検討しているでしょう。
楽天市場は他のECモールに比べてシステム利用料が若干高く設定されています。
理由としては他のモールにない独自性のあるショップを作れることや、楽天市場の知名度により多数のユーザーをページに流入でき、リピーターの構築を促せる利点などがあるためです。
あくまでも初期費用を抑えてECショップを開設したい人には不向きかもしれません。
商品のページや店舗ページを自身で作成する必要がある
Amazonで出品する際には、あらかじめ作られた商品ページに販売者が価格帯のみ調整して出品していく形態になります。
よって自身でページ作成することなく簡単に出品することができます。
楽天市場では店舗型のスタイルなので、商品ページから店舗のレイアウトまで自分で作りこむ必要があります。
自分だけのお店という独自性を打ち出すことが可能ですが、不慣れな方は作成に時間が掛かったり途中で挫折したりすることもあるようです。
ライバルがたくさんいる
楽天市場ではECモール内にたくさんのライバル出店者がいます。
独自性を打ち出したショップの設計や、豊富な商品ラインナップを確保しておかないと購入者の目に止まらず、多くのショップの中に埋もれてしまいます。
キーワードで上位検索がされるように楽天市場内でのSEO対策や効果的に広告を掲載してアピールをしないと思ったような収益が見込めなくなることもあります。
イーモジャパンでの楽天ページ制作事例
健康食品メーカー
依頼内容 | ・楽天市場の新規出店 ・楽天の新UI対応 |
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依頼の背景 | 楽天の新規出店に伴い、制作会社を探してたところ、知り合いの会社にイーモさんを紹介して頂きました。 |
課題 | ・デザイナーがいない ・楽天の知見がない ・社内で対応できるものがいない |
お客様の声 | 楽天市場の出店審査からOPENするまでで思った以上に作業量がありました。 リソースがなかったためイーモさんに代行をお願いしたところ、店舗構築含め約1ヶ月でOPENまで至りました。 |
実績一覧 | https://www.eeeemo.co.jp/works/ |
まとめ
楽天市場は他のECモールに比べて商品の品質管理や模造品の対策に力を入れていることもあり、新規で出店をする際の審査が非常に厳しくなっています。
その影響もあり購入する側は安心して高価な商品を買える環境となっています。
審査は厳しいですが、一度審査に通ると楽天市場がもつ国内最大級の集客力を販売に活用できる環境を手に入れることができます。
店舗が急に育つことはありませんので、独自性のある店舗をコツコツと作成して目標に向かうのはいかがでしょうか。
イーモジャパンでは、楽天市場などのECサイト運用支援の豊富な実績とノウハウから、売上拡大に向けた支援をしております。
「ECの売上を上げたい」「マーケティング戦略からしっかりと相談したい」などを検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。